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マナビノチカラ ~その②~

ケアマネジャーとして業務をしていると、「知識」の必要性を嫌と言うほど実感します。もちろん、どの職業、職種においても、「知識」と「経験」は必要だと言える事でしょう。医療や介護、福祉においても、特にケアマネジャーのお仕事に関しては、学ぶことを続ける事が出来る人じゃなければ続けていくことはできないと思います。

 

いきなり、私個人の経験談で恐縮ですが、今から、17年前に無資格で「介護業界」に飛び込んだ私。「子供の頃から祖父母に育てられたので、恩返しだと思いこの仕事を選びました」と、モチベーション高く、当時は若かったこともあり身体的な負担や夜勤も厭わず介護の現場が自分にはとてもあっていたと感じました。職場環境もそうですが人間関係も含めてとても毎日が勉強で楽しく「これは、私にとって天職だ」と想ったことが昨日の事のように思い出せます。

ある日、介護職として働いていた私に看護部の部長さんが私に言いました。「あなたは、とてもこの道に向いている人だと思う。だからこそ言うけれど、この仕事を選んだからには一生懸命に学びなさい。自己流になったらいけない。自己流になると人は視野が狭くなる。テキストに書かれている先人の知識と経験を学びなさい」と真剣に話してくれました。「知識があれば、自分の仕事に説明ができる。根拠がある、裏付けされたケアに対して人は信頼するものだ」と、部長は話されていました。そのエピソードを忘れた事はありません。

 

ケアマネジャーの業務は、利用者やご家族が抱える問題に対して解決に導く為に知識と経験に培った能力が問われます。様々な問題(困りごと)に対して、状況に応じて利用者への問題解決に対して社会資源(介護保険制度をはじめとした社会保障の知識)に精通するだけではなく、インフォーマルサポート(家族だけでなく地域の協力も含む)を活用する必要もあり、思いもよらないトラブルに対して臨機応変に対応を問われます。

「デイサービスを週3回にヘルパーを週1回、お掃除でスケジュールを組みましょう」と、介護保険サービスに繋げれば利用者やご家族の問題がすべて解決する!と言うのなら、ケアマネジャーは必要ないと思っています。私個人の意見ではありますが、心の底では密かに思っています。「介護保険に繋いだから介護のすべてが解決できるほど、人間はそんなに単純じゃねぇんだよ」って。

 

利用者やそのご家族を含めて支援していく前提として必要な条件が「信頼関係」を築くことが大前提だと、どのケアマネジャーに聞いてもそう答えると思います。単純に信頼関係とは何かと言われて「私は、利用者や家族と信頼関係はできている」と、私も含めてそう思ってしまいがちです。ですが、大切なことは「この人は信頼できる人だ」と思うのは、私ケアマネジャー側からの意見では無く、あくまで利用者やご家族の立場からの評価だという事です。そして、利用者や家族という相手の心の中身は知れるはずもありません。「ケアマネジャーはいつも、利用者や家族から試されている」と、思って私は毎回、訪問時に面談に臨みます。初回の訪問から始まり、毎回すべての面談が真剣勝負で利用者やご家族の話を聴き、真摯に対応しています。解らない事に対しては相手に対して説明する事も大事です。私が解らない事に対しても、きちんとお調べをしてから回答すると言う対応も大事にしています。ですが、それ以上に「相手の話に対して真摯に耳を傾けて傾聴する」と言う姿勢さえも知識がないと実践できません。コミュニケーション能力が高くないとケアマネジャーのお仕事は出来ないのかと、思うかもしれませんが「対人援助技術」と言う知識を学ぶ事でスキルを高めます。

 

他にも、おすすめの書籍として「頭のいい人が話す前に考えていること(安達裕也著)」は、どなたが読んでも学びになる一冊だと思います。書籍の中で「話が浅い人の特徴」として、①根拠が薄い、②言葉に鈍感、③成り立ちを知らない、三つを挙げます。詳しくは著書に譲りますが、この本を読んで思い出した言葉が「この仕事を選んだからには一生懸命に学びなさい。自己流になったらいけない。自己流になると人は視野が狭くなる。テキストに書かれている先人の知識と経験を学びなさい」「知識があれば、自分の仕事に説明ができる。根拠がある、裏付けされたケアに対して人は信頼するものだ」と、若い頃の私に話してくれた看護部長の話を思い出す未熟な私なのでした。