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日別アーカイブ: 2025年2月20日

「身体拘束について」の研修に参加してきました

ブログ記事をお読みくださりありがとうございます。先日、那覇市内の地域包括支援センター主催で実施された「身体拘束に関する研修」へ参加してきました。

 

グループワークも含めて、とても良い研修でした。今回は研修の振り返りと併せて身体拘束に関する基本的な知識を書いていこうと思います

 

1:日本における身体拘束についての法整備の歴史について

 日本における高齢者の身体拘束に関する法整備の歴史は、長い年月をかけて進化してきました。1950年に施行された「精神衛生法」が最初の法整備であり、精神障害者の保護と治療を目的としていました。しかし、この法律は高齢者の身体拘束に関する具体的な規定を含んでいませんでした。

 

その後、1970年に「精神保健及び福祉に関する法律」(精神保健福祉法)が制定され、精神障害者の権利保護と福祉の向上が強調されました。この法律では、身体拘束の条件や手続きについても規定されており、高齢者の身体拘束に関する基準が明確になりました。

 

1995年には「高齢者の虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)が施行され、高齢者の身体拘束に関する規制がさらに強化されました。この法律では、高齢者の身体拘束が適正な手続きを経て行われることが求められ、また、身体拘束の理由や期間についても厳格な基準が設けられました。

 

2000年には「障害者虐待防止法」が制定され、障害者全般に対する身体拘束の規制が強化されました。この法律では、身体拘束が最後の手段として行われることが明確にされ、高齢者の身体拘束に関する基準がさらに厳格化されました。

 

最近では、2016年に「高齢者虐待防止法」が改正され、高齢者の身体拘束に関する規制がさらに強化されました。この改正法では、身体拘束の理由や期間についての基準がさらに厳格化され、高齢者の権利保護が強化されました。

 

※POINT:2000(平成12)年4月から介護保険法が施行されたことにより身体拘束は原則禁止になった

※引用:「Microsoft Copilot」・太字は作成者加筆

 

2:身体拘束の対象となる具体的な行為11項目について

介護保険法における身体拘束の対象となる具体的な行為は以下の通りです

 

1)徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
2)転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
3)自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
4)点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
5)点滴。経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等を付ける。
6)車いすや椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y時型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルを付ける。
7)立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。
8)脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
9)他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
10)行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
11)自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。

※厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」2001年を一部改へん・太字は作成者加筆

3:身体拘束ゼロ作戦とは

2001(平成13)年3月に開かれた、厚生労働省「第2回身体拘束ゼロ作戦推進会議では、『身体拘束ゼロへの手引き』が作成されました。これによると、身体拘束が認められるためには、切迫性、非代替性、一時性、の3つの要件がすべて満たされていなければならないとされており、本人・家族・家族にかかわっている関係者・関係機関全員で検討、確認し記録しておくことが求められるとしています。

 

切迫性 :本人または他の利用者などの生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。

 

非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がないこと

 

一時性 :身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること

 

POINT:3つの要件の確認は、本人の尊厳を守るためのプロセスである!

※厚生労働省「身体拘束廃止・防止への手引き~令和6年3月~」より引用、一部改へん

 

4:身体拘束禁止への取り組みが介護(ケア)への質にどのように影響を与えるか?

介護保険法の身体拘束禁止は、介護の質に多角的な影響を与えています。具体的には以下のような影響が見られます

 

1:尊厳と自立の尊重:身体拘束の禁止は、高齢者の尊厳と自立を守ることに繋がります。これにより、高齢者が自尊心を持ち、より自立した生活を送ることができるようになります。自由な生活環境は精神的な健康にも寄与します。

 

2:個別ケアの強化:身体拘束が禁止されることで、介護施設は個別ケアの質を向上させる必要があります。高齢者一人ひとりのニーズに応じたケアプランが求められ、細やかな配慮が行われるようになります。

 

3:職員のスキル向上身体拘束を避けるための知識と技術が求められるため、介護職員のスキル向上が促進されます。これには、認知症ケアやコミュニケーション技術の向上が含まれます。結果として、より質の高いケアが提供されるようになります。

 

4:介護環境の改善:身体拘束を防ぐためには、安全かつ快適な介護環境の整備が必要です。例えば、転倒防止のための設備導入や、適切な介護用具の使用が進められます。これにより、介護施設全体の環境が改善されます。

 

5:倫理的・法的意識の向上:身体拘束禁止は、介護従事者や施設運営者の倫理的・法的意識の向上にも寄与します。法規制を遵守することで、介護施設の信頼性が向上し、利用者や家族の安心感が増します。

 

これらの影響により、介護保険法の身体拘束禁止は、高齢者の生活の質を向上させ、介護サービス全体の質の向上に繋がっています。今後も、この法律の遵守が続くことで、さらに多くの高齢者が安心して生活できる環境が整備されることが期待されています。

※引用:「Microsoft Copilot」・太字は作成者加筆

 

5:身体拘束を無くすための介護者としてのコミュニケーションの基本技能

 身体拘束廃止への取り組みは、高齢者の生活の質を向上させ、介護サービス全体の質の向上に繋がっています。ここでは介護者としてのコミュニケーションの基本技能を説明します

「自己覚知」の重要性

・良好な人間関係をつくるためには、まず自分をしるという「自己覚知」と、利用者をよく知ることが重要であり、基本である

 

「傾聴」の重要性

・利用者を知るためには、利用者の生きてきた歴史や生活習慣、教育や価値観、身体状況、心理状態などを理解することである。その為には、まず利用者の話や訴えを聴くという傾聴技能が必要になる

 

「共感的態度」の重要性

・共感とは、利用者の示す感情表現ではなく、表出しない感情にも心を寄せ、その思いを共有することである

 

※医療法人おもと会 沖縄リハビリテーション福祉学院「身体拘束に関する基本の知識」より引用、一部加筆しました。

6:さいごに

 

身体拘束に関する研修に参加して、共感できた部分が「介護者としてのコミュニケーションの基本技能」でした。基本的に利用者のケアにあたる機会は少ないのですが、①「自己覚知」の重要性②「傾聴」の重要性③「共感的態度」の重要性は介護者だけではなくケアマネージャーとしても、利用者との対人援助技術でもっとも大切な技能であると思います。

 利用者とのコミュニケーションを通じて「身体拘束をしない環境」をいかに作るべきか考えさせられた研修でした。